「西脇に来てよかった!」この想いを力に変えて、
つくり手の想いが見える生地をつくりたい!

柏原 由似

かしわばら ゆに

遠孫織布株式会社 [テキスタイルデザイン他 製織全般]

東京都出身 / 文化服装学院ファッション工芸専門課程ファッションテキスタイル科卒

会社hp :

  • 1. 西脇市へ移住した理由

    もともと、日本のものづくりの現場に入りたいという想いが強かったんです。播州織はシャツ地のイメージがありましたが、実際に西脇に来てジャガード織に出会い、今まで知っていたシャツ生地と印象が全く違ったのが衝撃的でした。ここで布がつくりたいという気持ちになった決め手は、綿織物という素材の身近さと、ジャガード織という身近じゃないものの対比がおもしろかったこと。そしてデザインも、織機の調整も、力仕事もすべて自分でできないといけないこと。産地に来るなら全部やりたいっていう欲張りなところが、ものづくりに生きてくると思っているんです。

  • 2. 現在の仕事

    思っていた以上に濃厚でした。糸ひとつをとってみても、整経と製織では扱い方の難しさが違うんだと身を持って理解できたのは大きな経験です。今、大切にしているのは、無意識に作業しないようにすること。この打ちこみはどういう意図があるのか、もっときれいに柄を見せる方法はないのか、この糸の配色はなぜこんなにきれいなのか、考えることが楽しいんです。仕事が入ると、今はこういうものが求められているのかって研究もしています。
    学んだ知識ではできるはずなのに、いざ機械にかけると思うようにいかないことも多くて、実際に布をつくってみて初めて気づくことが多いんです。あの勉強が実はこうだったんだって、頭の中と現場がつながると楽しくなって、どうしたらできるんだろう、どう改善していこうと、日常生活でも考えるようになりました。
    自分でいろんなことを考え、その都度改善点を見つけていく。何をするにも「どうしたらいいんだろう」って自分で考えていかなきゃって思う。これが産地の中にいる意味なんだと気がつきました。入社したばかりの4月の展示会では、お客さんに訊かれても答え方さえわからなかった。「どうしよう」と困ったあの経験を、絶対次に活かしたいんです!!

  • 3. 播州織の魅力、産地の魅力

    かっこいい布って、職人の想いが見えてくるものだと思うんです。播州織って、つくっている人たちの想い入れがすごい! ただの生地じゃなく、いろんな人が関わってできている一つのストーリーなんだと感じます。製織の現場にいると、皆でつくり上げているものの大事な過程にいるんだと思えてきて、ここでミスをするわけにはいかないっていう責任を感じるんです。こんな横のつながりの中で、ものをつくっている人はあまりいないはず。想いをつないでいけるよう、スムーズにバトンタッチしなくてはと思っています。
    今は海外製品との競争が厳しい時代ですが、日本でつくられる布が当たり前にある世界になってほしい。織るのも日本、縫製も日本という状況を当然のものにしていきたい。日本には、いいものが当たり前にあるんだと伝わっていけば、自然と想いもつながっていくのだと思っています。

  • 4. 西脇市に住んでみて感じること

    人と人の距離が遠すぎず、みんな人懐っこい。おもしろくてあったかい、西脇ってそんなところです。
    実は東京から来て、ちょっとした「よそもの感」を勝手に持っていたんです。でもある時「10年後はお前たちが播州を背負っていくんだ」って話してくれる経営者さんに出会って、泣いちゃいました。「将来はどうするの?」と訊かれた時、「西脇にいられる限りいたい」と答えると「安心した」って言ってくれる方もいて……。「あぁ、私ここにいてもいいんだ。西脇にいて頑張ってもいいんだ」と思わせてもらいました。「いてもらわないと困る」と言ってもらえるように、西脇に来てよかったと思っている今のこの気持ちを、これからの力に変えていきたいと思っています。

  • 5. 播州織産地で働いてみたい人へ

    西脇は刺激があるところです。何をしていても生地のことを考えられるのは、「産地」ならではのすごい魅力です。その中でも、いろんな人とコミュニケーションをとれる場所が「コンセント」。仕事帰りに「開いてるな、誰かいるな、資料だけでも見に行こうかな」って、放課後みたいな時間を過ごせるところです。糸を触ったり、図案を考えたり、仲間が考えている姿を見たり。違う場所でみんなも闘っているんだと思うと、それだけで支えになって心に余裕が持てます。産地の中で若い人が集まっているのは、西脇が断トツ! 切磋琢磨できる、ひとりじゃないと感じられる、こんなに整って恵まれたところはないと思います。